Interview #
6
2024
年
5
月
松木大
Makoto MATSUKI
DBJ (日本政策投資銀行)
企業投資第3部長
(伊藤)DBJは日本経済を活性化させるために何ができるかを考えている金融機関だと伺いました。そういった意味ではサーチファンドという仕組みが日本の未来にどんな貢献ができると考えていらっしゃいますか。
(松木)まず第1に、サーチファンドという仕組みは、埋もれている経営人材の発掘に大きな貢献を果たすのだろうと考えています。能力のある方々でも、経営者になることを諦めている人たちもたくさんいるのがこの国の現状です。そんな中でPEファンドから派遣されるプロ経営者とは少し角度の違う、新しい要素を持った経営者を発掘出来る可能性を秘めていると思います。
また、M&A仲介会社のご尽力もあり、M&Aに対する心理的ハードルが下がってきている印象を受けています。従って、第2に、M&Aの譲受先のオプションとして、サーチファンドが貢献できることも多いのではないでしょうか。オーナー誰しもが抱える事業承継問題の解決策の選択肢を広げていると思います。
サーチファンドのプレイヤーも増えてきており、業界も一歩一歩着実に進んでいる中で、日本経済にきっと大きな貢献を果たしてくれるだろうと信じています。
(伊藤)ありがとうございます。少しでも貢献できるように日々邁進してまいります。サーチファンドのプレイヤーについても言及いただきましたが、サーチファンド業界発展のために必要なことはどんなことだとお考えでしょうか。
(松木)サーチファンドはまだまだ教科書の無い世界で、教科書を作っている最中の業界だと思います。そんな中で、成功するときはいくつも複合的な要素が重なって成功するケースが多いので、成功したこと自体は喜ぶべきことですが、そこに固執するべきではないと考えています。どちらかというと、むしろ失敗から学んだことの方が、最大公約数的な法則(やらない方が良いこと、やるべきこと)を導くために必要なのではないでしょうか。いろんな方々がサーチファンドを展開していますが、失敗を共有できる場を作っていけると良いのではないかと感じ、個別性をそぎ落とした普遍性を業界の中で共有出来ていくことが成功確率を上げるためには重要と考えています。
(伊藤)プロ野球の故野村克也監督が、「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし。」とお話しされていることを思い出しました。
(松木)至言だと思います。失敗からも学びを得ながら、SFJの将来、そしてサーチファンド業界の発展に少しでも貢献できるよう、DBJもお力添えしていきます。
(伊藤)大変心強い限りです。本日はありがとうございました。
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▼松木大(DBJ 企業投資第3部長) 連載インタビュー
vol.1 | DBJがサーチファンド・ジャパンに参画した理由
vol.2 | 金融機関としてサーチファンドから得られた価値
vol.3 | サーチファンドが日本の未来に果たす役割