サーチファンド・ジャパン
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Interviews
Makoto MATSUKI

 Interview #

6

2024

 年

5

 月

松木大

Makoto MATSUKI

DBJ (日本政策投資銀行)

企業投資第3部長

vol.1 | DBJがサーチファンド・ジャパンに参画した理由

(伊藤:サーチファンド・ジャパン代表取締役社長)本日はよろしくお願いいたします。まずは日本政策投資銀行のご紹介をお願いできますか。

(松木:日本政策投資銀行企業投資第3部長)日本政策投資銀行(DBJ)は、政府100%出資の金融機関です。主に中堅から大企業に対し、投融資一体型のファイナンスを行っています。DBJは銀行法上の銀行ではないので、普通株も含めて自由に扱えることが大きな強みでして、通常のシニアローンはもちろんのこと、再生ファイナンス、メザニンファイナンス、マイノリティ投資、マジョリティ投資などバランスシートの調達側をすべてご提供できることが特徴です。

 DBJには大切にしている4つのDNA(①長期性、②中立性、③パブリックマインド、④信頼性)があり、日本経済を活性化させるために何ができるか、職員が常に自分に問いながら仕事をしています。また、政府系の金融機関ですので、民間資本では対応できないフィールドを開拓することを使命にしています。

 サッカーに例えると、オフサイドラインでプレーすることを求められており、リスクが高く民間金融機関のみでは対応が難しい領域に、積極的にチャレンジして呼び水効果を生むことを生業としています。

(伊藤)当社に参画いただく前は、お堅いイメージがありました。DBJの方と一緒にお仕事をしていると、志や思いを持って、新しいことにチャレンジしている人たちが多いと感じます。

(松木)そう言っていただけて光栄です。古くはベンチャー投資や事業再生なども、マーケットが出来上がる遥か昔からやってきており、新しい領域に飛び込んで、先行してリスクを取っていくことが常に求められてきました。サーチファンドへの参画もDBJにとって新しいチャレンジでした。

(伊藤)DBJがサーチファンド事業に参画した経緯や理由について詳しく教えて頂けますか?

(松木)サーチファンド事業はDBJの若手職員がボトムアップで企画した事業でした。DBJ若手職員の中には、地域活性化について学生時代から深く携わってきた職員が何人もいまして、彼らを中心に、地域のために何が貢献できるかを検討していた際に、サーチファンドという仕組みに出会ったと聞いています。

 地域における事業承継問題は日本の大きな課題です。その中でも経営者不在の問題がフォーカスされることが多い中で、その解決策としてサーチファンドにいきついたようです。その時に、その中のメンバーが伊藤さんと偶然お会いしたんですよね。

(伊藤)仰る通りです。同時期にサーチファンド・ジャパン(SFJ)構想を企画していた中で、弊社の監査役になっていただいている巻島さんとお会いして、SFJへの参画を検討いただくことになりました。DBJ内ではいろいろ検討頂いたと思いますが、なぜSFJの座組に参画することを決めて頂いたのでしょうか。

(松木)参画した理由は2つあります。

 まず第1に、伊藤さんのお人柄です。伊藤社長はバイアウト投資領域と中小企業経営領域、どちらに対しても豊富な経験をお持ちですが、なにより「人間力」が長けている方だと感じ、その両輪が揃っている方が率いていく事業だったら大丈夫だという確信がありました。

 第2に、各株主の力を持ち合えば、サーチャーが持っている能力を最大限発揮できる座組だと考えたからです。日本M&Aセンターは中小企業M&Aに熟知されており、案件ソーシングの面で心強いパートナーだと思いました。キャリアインキュベーションは人材の発掘だけでなく、サーチャーのメンタリング機能を担っていただいています。DBJはファイナンス・経営管理の部分でお役に立てると感じ、M&A/人材/ファイナンスの3つの力を、伊藤さんがうまく活用しながら事業を進めていけば、間違いなく良い事業になる、と考えました。

(伊藤)身に余るお言葉、ありがとうございます。最初は私1名と、株主各社から担当者を出していただいて、SFJをスタートしました。私のことを中心にお話しいただきましたが、株主各社からの担当者にもすごく恵まれたと感じています。

(松木)そう思います。株主各社の担当者の方々も高い志と共感力、人を動かす力を持っている人たちが多かったと感じています。年齢に関係なく尊敬できる人しかいない印象で、振り返ると奇跡的なメンバーだったと思います。

(伊藤)今はSFJ社員も増えまして、SFJ自身も日々変化を続けています。チームメンバーが増えていくと、思考プロセスが整理されて言語化が進んで、1人で辿り着けなかった領域に辿り着けている気がしています。

(松木)株主各社の担当者もそうでしたが、SFJ社員の方々の共通項は3つあると感じています。1つは「人」が好きであること。「人」でしか創造できない価値を信じている。2つ目は、「遊び」も大事にされていること。「遊び」がないと、創造的な価値は生み出せないと思います。そして、3つ目は∙「豊かさ」を追求していること。周囲にいる関係者をどうやって物理的・心理的に「豊か」にしていくのかを追及している印象があります。

(伊藤)SFJの社員のことも具に感じ取っていただいて、とてもうれしいです。ありがとうございます。

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▼松木大(DBJ 企業投資第3部長) 連載インタビュー

vol.1 | DBJがサーチファンド・ジャパンに参画した理由

vol.2 | 金融機関としてサーチファンドから得られた価値

vol.3 | サーチファンドが日本の未来に果たす役割

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